トム・ニコルズ「専門知はもういらないのか 無知礼賛主義と民主主義」
【本書を読んだ目的】
TVを見ていると朝から晩までワイドショーはコロナ騒動一色である
医者から官僚まで専門家が乱立している
しかし議論により問題は整理されるどころか、より混乱を招いている
専門家による知見は必要なのか?
インターネットのブロガーのような曖昧な知見が優先されるのか?
【本書を読んだ結果】
混乱の原因は専門知と無知の二軸対立という簡単な話ではないということに気付かされた
無知を恥じない姿勢、知識の欠如に対する傲慢さが問題なのである
【印象的フレーズ】
「我々が住む社会は分業。つまり全員が何もかも知らなくても問題ない仕組みで動いているものだから。パイロットは飛行機を飛ばし、弁護士は訴訟を起こし、医師は薬を処方する。
(はしがき)
はしがきのフレーズだが、本書では、結論に辿り着く前に終始一貫して文学的文章が続く
誰もが万能の天才、ダ・ヴィンチである必要はない、と説く
「別の言葉で言えば、トランプの支持者たちは、トランプがとんでもなく無知な発言をしたときに、大目に見ているでのはなく、ダニングが言うように『彼らはそうした失言を間違いだと気づいていない』」
このフレーズこそ本書のエッセンスである
2020年11月8日時点でアメリカ大統領選挙は決着がついていない
開票・集計方法を巡り暴動に発展しトランプ支持者たちは集計会場に詰めかけ、疑義を叫んでいる
筆者は無知であることを恥じよ、と説いているのではなく間違いや無知であることをまず認めることにかなりのページを割いている
本書では結局、専門知の現在について明確な結論を出していない
専門家にも誤りがある点、インターネットで過去情報に容易にアクセス可能になったことも悪いとは言い切っていない
読者に考えさせること、それが目的なのだ